そんな中で、『竹とタケノコ』は、一見すると、そうした作品群の中に埋没してしまうような作品かな、というのが正直な感想でした。
というのも、映画としての完成度が非常に高いんですよね。俳優さんも、知った顔が何人も出ていて、こう、なんて言うんですかね…「新しいものを観た!」とか「これぞ日本映画の次のステージだ!」というような、そういうものではなくて…。ごめんなさい、決して貶しているわけではないんです。非常にオーソドックスな作りだったので、前半は少し油断して見ていたのですが、後半の…あの青年、清水尚弥くんですね、彼が、発達障害的な部分からガラッと変わっていくところの芝居が、本当に凄くて。「この俳優は誰!?」ってググりたくなるぐらい、本当に素晴らしい演技をされていました。
(一般の方である)豊橋の人々が出てくるんですけども、清水くんは、彼らとの関係性をしっかりと構築していて、良い橋渡し役になっているんです。若い役者さんなのに、本当に凄いなと思いました。
そして、周りの大人たち(豊橋の一般の方々)も、朗らかに「お前ダメだよ〜」なんていうのが自然に引き出されていて。多分、彼の天性のものなのかな、と。監督がそれを引き出したんだと思います。そこが、今回の高い評価に繋がった大きな要因ですね。
30分強の映画なんですけど、2時間ぐらいの映画を見たような、そんな満足感がありました。
個人的には「やられたな」という思いで、グランプリに選出させていただきました。本当におめでとうございます。
(審査員長:中川陽介)
グランプリ獲得『竹とタケノコ』
※何と!ポスターにNICE3のロゴマークが!早速掲載をしていただき、NICE一堂感謝です!
※東愛知新聞2025.2.8の一面に掲載されたグランプリ受賞に関する記事
https://higashiaichi.jp/news/detail.php?id=24200